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『ルーゴン家の誕生』

Posted by pigmon2 on 10.2009 読書 0 comments 0 trackback
 ルーゴン・マッカール叢書全20巻のうちの最初の1巻です。ずいぶん前に読もうと思って購入したのですが、ゾラ特有の文章のリズムについて行けずに本棚に長いこと眠ってました。ちょうど『獲物の分け前』を読んだ後だったので、今回はその延長線上で読み進むことができました。
 そもそもルーゴン・マッカール叢書とはアデライード・フークの子ども達3人のそれぞれの家族の歴史を綴ったものである。アデライードの長男ピエール・ルーゴンとその子孫、次男アントワーヌ・マッカールとその子孫、長女ユルシュル・ムーレとその子孫という3つの大きな流れがあるり、それぞれが貪欲のルーゴン家、怠慢のマッカール家、狂気のムーレ家という特徴で語られている。

 第1巻である本書はアデライードのふたりの息子ピエール・ルーゴンとアントワーヌ・マッカールの確執と共和主義運動に参加した孫にあたるシルヴェール・ムーレの淡い初恋と時代の激動に巻き込まれた悲劇が描かれている。アデライードの子ども世代の話が中心だが、孫世代の紹介を兼ねた記述が織り込まれていて、シリーズを読み進む上で参考になりえるだろう。

 アデライード・フークはもともと非常に裕福な農家の末裔で1人生き残っていた。先祖が残してくれた土地を農夫に貸して生計をたてていたが、その農夫ルーゴンと結婚しピエールを儲けるが、早くに夫に先立たれてしまう。その後密輸業者マッカールと愛人関係になり、アントワーヌとユルシュルを儲けるが、彼にも先立たれてしまう。このおばあさん子どものことはそっちのけで愛人のもとに馳せ参じてしまうようなお目出度い女なんだけど、なぜか運が強く、発作を起こしながらも常に誰かに面倒を見てもらっている幸せな人だ。

 長男ピエールは弟を戦地に追いやり、母親をだまして財産を巻き上げ油商の娘フェリシテと結婚し、ユージェーヌ→『ユージェーヌ・ルーゴン閣下』、パスカル→『パスカル博士』、アリスティッド→『獲物の分け前』『金』、シドニーマルト→『プラッサンの征服』の三男二女を儲ける。本書では両親同様出世と蓄財を望む野心家のユージェーヌとアリスティッド、常に弱い者の見方になる医師パスカルの三兄弟が活躍する。

 一方騙された弟アントワーヌは終生兄の一家を恨み妬みながら暮らす。働き者だが酒飲みの大女ジョゼフィーヌと結婚し、妻に食べさせてもらいながらのらくらと過ごす。子ども達が大ききなると、子ども達の稼ぎまでももぎ取って悠々自適な生活を送る。だが、妻に先立たれると子ども達も逃げていってしまい、惨めな暮らしを余儀なくされる。彼の子ども達はリザ→『パリの胃袋』、ジェルヴェーズ→『居酒屋』、ジャン→『大地』『破壊』の主人公となる。アントワーヌが傾くのと相反して、兄ピエールは繁栄していく。

 ユルシュルについて本書はあまり細かくかいていないが、真面目で温厚な帽子職人ムーレと結婚してフランソワ→『プラッサンの征服』、エレーヌ→『愛の一ページ』、そして本書のもう1人の主人公シルヴェールを儲ける。

 ここに出てくる人達は、アデライードやアントワーヌのような身勝手なだらしない人達、或いはピエールを筆頭とする狡猾なずるい人達のオンパレード。どちらもグロテスクな描かれ方をしているが、私としてはだらしない人達よりずるくても努力して運命を変えていこうとする人達に共鳴してしまう。特にピエールの妻フェリシテは親近感をもつ。こう書くと「それは、あなたに似てるからでしょう」という声がどこかから聞こえてきそうだ。

 ピエールとフェリシテはずる賢い小悪人夫婦で、ある意味いいコンビ。ただ腐れ縁のように繋がっているマッカール夫妻と比べると、互いに尊重して手に手をとって悪巧みをしていくある種の夫婦愛が感じられる。マッカールの子孫が比較的不運なのに比べて、ルーゴン家の直径は幸不幸は別にして、社会的に安定した地位を得られたのも夫婦の絆のなせる技じゃないかと思えた。

 さて、醜いおとな達と並行して純粋なシルヴェールの哀れな運命。幼くして両親を失い、職人に弟子入りしながら病気の祖母の面倒をみる。学校へ行ってないから自分なりに政治や社会の勉強をして協和主義に傾倒する。子ども故の弱さや愚かさもさる者ながら、彼の一途さはおとな達の身勝手さを浮き彫りにする。

 隆起軍が怖くて攻撃の際は身を隠していながら、彼等が立ち去った後、英雄気取りで町を救ったと豪語するピエールはかなり滑稽だが、現実は案外そんなものなのかもしれない。実力のある者や真の人格者が人道的立場に立つとは限らない。ピエール=フェリシテのように状況判断ができたものが上手いこと幸運を手にしているのかもしれない。

 シリーズ物は本来発行順に読み進むべきなんだろうけど、この場合は年代順に読んだほうが面白そうだ。次は孫世代、マッカール系の『居酒屋』とルーゴン系の『獲物の分け前』は読んだから、今度はムーレ系の『プラッサンの征服』あたりを読んでみたいと思う。



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