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『ごった煮』

Posted by pigmon2 on 18.2009 読書 0 comments 0 trackback
 これはブラックユーモアたっぷりのはちゃめちゃコメディー。面白くてすらすら読み進めました。
この話は11話『ボヌール・デ・ダム百貨店』の前編に位値し、ボヌール・デ・ダムがまだ百貨店になる前の服飾店だった頃の物語です。
 パリに出てきたオクターヴ・ムーレはプラッサンの知人、建築家カンパルドンの紹介でヴァブル館の5階に部屋を借り、ボヌール・デ・ダム服飾店に就職する。最初に非常に不思議に思ったのは、カンパルドン夫人から
「ご両親は元気?」と聞かれたオクターヴが
「はい、元気です」
と答えていました。てっきりこれはムーレ夫妻が亡くなった後の話だと思ってましたが、この物語の時代は1862年から1863年となっていて、ムーレ夫妻が亡くなったのは1864年なのでつじつまは合いました。

 さて、オクターヴの入り込んだヴァブル館は表向きは品格のある人達が暮らしているアパルトマンなのだが、蓋を開けてみれば不倫不貞のオンパレード。まず知人のカンパルドンからして妻の従姉と不倫関係にあり、妻の要望で愛人を自分の家に同居させる。真実を知らないのは夫人のみで、使用人達は影で従姉をカンパルドン第二夫人と揶揄している。

 家主のヴァブル氏には3人の子どもがいる、長女のクロチルドは控訴院判事ジュヴェイリエと結婚して優雅に暮らし、年中ピアノのリサイタルを開いている。ジュベイリエは愛人クラリスを囲っているが、恩をあだで返すような待遇を受けている。クロチルドはそのことを承知の上黙認している。長男のオーギュストはヴァブル館の中2階に服飾店を経営している。30になるがまだ独身。次男のテオフルは美人の妻ヴァレリーと結婚しているが年中妻の浮気に悩まされている。

 ヴァブル館の一室には会計係をしているジョスラン氏とその家族が暮らしている。ジョスラン夫人は夫の給料が低いと年中愚痴ばかりこぼしている。そして何とかして娘を玉の輿にのせようと必死に婚活している。長女は内縁の妻がいる男とつきあっている。ジョスラン夫人は何故か長女ではなく美人の次女ベルトの縁組に必死になっている。オクターヴも最初ターゲットにされたが、オーギュストと結婚が成功する。

 オクターヴは最初はヴァレリー夫人を、次いでボヌール・デ・ダムの店主エドアン夫人をなんとかものにしようとするがなかなか思うようにいかない。隣家の世間知らずの主婦マリーとは関係を持つが、もともとマリーにそれほど魅力を感じていなかったためさほど満足は得られない。オクターヴは次第にベルトに気持ちが動き、かなり本気になる。ベルトも夫と上手く行かずオクターヴのプレゼント攻撃に次第に心が動き深い仲になってしまう。

 しかし2人の関係がテオフルにばれ、あわや殺されかねない状況からなんとか逃れる。これに懲りたオクターヴは仕事に専念し、最後には店主エドアン夫人の再婚相手となる。

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 なんたって面白かったのがジョスラン家の模様。とにかくこの母子、お金がないのにさもあるような振りをする。パーティーに呼ばれてほんとうはお腹がすいて食べたくてしょうがないのに無理して食べなかったり・・・馬車代をケチってドレスを汚さないよう裾を持ちあげながら帰ってきたり、とにかく見栄っぱり。そんな妻と娘になんとかドレスを買ってあげるためジョスラン氏は宛名書きの内職をする。妻にがみがみどやされても強く言い返せずひとり涙する姿はなんとも痛ましい。

 結婚させたくても持参金を持たせてあげられないため、なんとか夫人の兄のパシュラール伯父さんに金をださせようと毎晩夕食に招待して媚びてご馳走する。ところがこの伯父さん、とってもケチで男仲間には大盤振る舞いするくせに、女になんか金を使うのは勿体無いと思っていてなかなかそのテに乗らない。とうとうジョスラン夫人は持参金があるようなことを吹聴して結婚にこぎつかせる。

 滑稽なくらいに金、金、金の世界。女性側が少しでも財産のある家に嫁ごうとするのはわかるが、男性側も花嫁の持参金を結構あてにする。空腹で食べるものも満足に食べられないのにドレスや装飾品は買うし、女中を雇う。そんな経済状態だったら使用人を雇ってる場合じゃないだろうに・・・19世紀のブルジョアはさもリッチな暮らしをしていたんだろうと思っていたけど、案外見た目と現実のギャップがあったのかもしれない。

 パリ中流階級の乱れた風紀が描かれている・・・などと紹介されているが、全体の文章タッチが明るいせいか「居酒屋」や「大地」の性描写みたいな生々しさは感じられなかった。ただジョスラン家のアデールが自分の部屋で子どもを産み捨てるシーンはちょっと衝撃的だった。

 アデールは他の家の女中たちからもばかにされているちょっと鈍い娘。オクターヴの友人やシュヴェイリエのいい慰み者になっていた。そんなアデールがいつの間にか妊娠していて、本人はおろか周囲もただ太っただけだと思って誰も気づかない。そんなことってあるのかと思うが・・・。アデールはある日
激しい腹痛に襲われて子どもを産み落とし、それを自分で始末してゴミ捨て場に捨てる。

 同じ頃ジュヴェイリエは貧しさゆえに自分の産んだ子どもを殺害して捨てた母親に有罪判決を突きつける。とても皮肉な取り合わせだ。もしかしたらアデールの産んだ子どもは彼の子どもだったかもしれなのに・・・。力のあるもの(雇い主、男)は自分のまいた種を他人事のように知らん顔していられるが、力のないもの(使用人、女)はそれをすべて背負い込まなければならない。アデールに野生の強さを感じ、少し感動した。

 一方ジュヴェイリエもある意味気の毒だ。愛人クラリスに逃げられて自殺を図るが銃弾が咽を掠めただけで失敗に終わる。その後、浮気を黙認しいる妻に
「あなたが相手をしてくれたら、こんなことにならなかったのに」
とぼやいている。おそらくこの夫婦には肉体的な関係がなかったのだろう。クロチルドも夫を愛していないのではなく、ただ単に夫婦の夜の営みが苦手だったのではないかと思う。
  
 金目当てで結婚した相手と愛情が育つわけない・・・なんてこともなく、意外と暮らしていくうちに愛情のようなものが育ってしまったりする。ここにでてくるヴァブル家の3夫婦もなんやかやといって最後は元の鞘に収まっている。夫婦って不思議だ。

 


 
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