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『夢想』

Posted by pigmon2 on 22.2010 読書 0 comments 0 trackback
 休息と気晴らしのシリーズの1つ、シドニー夫人の生み捨てた一人娘アンジェリックの美しくも儚い一生を書いた物語です。
 ボーモンという町の刺繍職人ユベール夫妻はある雪の日ひとりの捨て子に出会う。子どもに恵まれなかった二人はその子を養女として育てることにする。子どもながらに苦労を味わいひねくれていたアンジェリックも夫婦の愛情によって素直な娘へと成長する。

 養父から刺繍の技術を習得したアンジェリックは刺繍職人として卓越した才能を発揮し、同時に美しい娘となる。ある日一人の若者フェリシアンと出会い恋に堕ちる。ところがフェリシアンの父である司教から結婚は反対され、両親、特に養母のユベルティーヌも身分違いの結婚に反対する。ユベール夫妻は周りの反対を押し切って結婚したことに後悔の念が付きまとっていた。

 そうこうしているうちにアンジェリックは原因不明の病におかされ、いまや臨終かと思われたとき、とうとう司教が二人の結婚を認める。そのとたんアンジェリックは生き返ったようになり、1年後司教のもと結婚式が執り行われるが幸せの絶頂でアンジェリックは息をひきとる。


 本書はルーゴン・マッカール叢書のひとつだが、当の主役が自分がルーゴン一族の人間であることを知らず、シドニー夫人がちょこっと顔を出す程度に終わっている。ユベールがアンジェリックを正式な養女にするに当たり、本当の親が生きていたなら許可を取りたいと思い実の親探しをはじめる。ところが探し当てた実の母親は売春の斡旋をするいかがわしい存在だったためユベールはアンジェリックにそのことを伝えるのをやめ自分ひとりの胸にしまう決心をする。

 叢書の中でも珍しく悪い人間が出てこない。シドニー夫人も遠巻きにユベールが眺めてうわさを耳にする程度で終わる。主人公のアンジェリックはよく同じ年に生まれたナナや『生きる歓び』のポーリーヌと比較される。男性読者には圧倒的にポーリーヌが人気だが私は個人的にアンジェリックのほうが好感が持てる。ポーリーヌはなんかいい子過ぎて鼻につくがアンジェリックは素直さと未熟さを兼ね備えた等身大の16歳の少女として描かれている。

 好感度でいうと養母のユベルティーヌは叢書中1,2を争うくらい私の中では好きなキャラクターだ。地味だけど上品で愛情深く理知的で正に理想の母親だと思う。実の母ではなく育ての母親を理想的に描いているのがなんともゾラらしい気がした。彼女は自分の母親に結婚を認めてもらう前に死なれてしまったこと、授かった子どもが死んでしまったことを一生心の傷として秘めている。しかし夫の前ではそれを表に出さないところは妻としても理想的だと感じた。

 このシリーズは挿絵のあるものが多く『ナナ』などは児童書かと思われるほど挿絵が載っていたのに、本書には全く挿絵がなかったのがなんとも残念。この話こそ挿絵が見てみたい。特にアンジェリックが手がける伝統的な僧衣の刺繍がどんなものなのか言葉だけではイメージがわかない。できればカラーで見てみたい気がする。タイトルも『夢想』になっていたが、どちらかといえば『夢』のほうがよかったと思う。



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